「極短小説」にインスパイヤされたのでここにショートショートなノベルを記します。
東京電車シリーズ
7月、梅雨明けの日。19時30分、新宿を出た満員電車。信号機トラブルにより遅延した電車の中は、通常より多めの会社員、OL、学生で混雑している。汗のにおい、整髪料のにおい、髪の毛のにおい、香水、とてつもないにおいなどが充満する。隅田瑞男はそれでもトラブルの起きていない車両で安心しきっていた。その危ういにおいをキャッチするまでは。
人間の五感はいろいろあるが、臭覚だけは脳にダイレクトにつながっているとかで、においでのストレスは耐えがたい衝撃を与える。今回は、人ごみの中で上下運動を繰り返し、頭をひょこひょこ出しているオババが源だった。オババ、半そでTシャツを肩までまくり、吊革を2つつかんで懸垂運動をしているのである。しかも、わき毛が見える。漂うにおいも、強烈なもの。隅田瑞男、別のイメージを浮かべ、臭覚ロードにバリアを張ろうと努力。途中、におい攻撃に耐えながら。
(絵:文 ©ハヤテノコウジ)
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