「極短小説」にインスパイヤされたのでここにショートショートなノベルを記します。
確かにその席は、蚊の席だったのかもしれない。
テーブルの中央にいたのだから。
しかし、注文したデミ・ハンバーグ定食をこのはじの席でどうしても食べたい私は、
そいつを追い払うことにした。
意外と静かに旅立ったあいつに、さよならさえ言おうとしたのに。
戻ってきた。リターン・オブ・ザ・モスキート。
これだけで怖いタイトルになるあいつは、吸血鬼なのだらか当然しつこい。
まずはサラダにドレッシングをかけ、野菜からいこうとしたのだが、
あいつを追い払う手がたまたま味噌汁の近くにいったのでそいつを飲んだ。
続いて、やはりサラダに行こうとしたが、
真下から迫ってきたので追い払い、その手がハンバーグに近かったので肉のかたまりを切る。
ほおばる。いつものように変な味がする。クーポン券が切れるまではこの味でいくしかない。
臨席に、白いシャツの携帯サラリーマンがやってきた。
カレーライス。
このおかげでモスキートはこのボウヤにつきまとっている。
この隙にごはんを口の中へほおりこむ。ハンバーグを切る。
ごはんに乗せて、いっしょに食べる。
このボウヤ、わずか5分で席を立つ。
もっとゆっくり味わってよ。
そう思って心配になった。
案の定、やつは戻ってきた。リターン・オブ・ザ・モスキート。
吸血鬼である。もう定食はほとんど食べ終わっているが、
最後のハンバーグのかたまりにデミ・ソースをからみつけて食べる。
戦闘態勢OK。
つぶしてやる。ツブシテヤル。と2回思い、
ナプキンを丸め、テーブルにとまるのを待つ。
チャンス到来!と手をあげてつぶそうとすると、臨席に身長190センチ級の携帯サラリーマン。
肉うどんセットの彼は、手を斜めに振り上げ、振り降ろし、モスキートと戦っている。
数人との攻防を乗り切るモスキート。しかし誰かが去るたびに戻ってきた。リターン・オブ・ザ・モスキート。
やつが他人と戦闘している間に、去ればいいのにそうしないのは、
(絵:文 ©ハヤテノコウジ)
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