「極短小説」にインスパイヤされたのでここにショートショートなノベルを記します。
「やっぱさ、サカタつれてくるんじゃなかったね」
言いやがった。今回も言いやがった。
ツダはいつもこの調子でオレをコケにする。
入社前の新入社員を連れて、早咲きの桜をおかずに一杯やろうというツダのアイデアに若手社員が賛同。
4月入社の2名を連れ立って千鳥ヶ淵に着いたとたん、雨が降り出した。
局地的ともいえるこの雨に、一同はためいきをつき、せっかく買出しをしたのだからと会社の会議室での宴会と なった。
ここでもツダは「サカタっていいやつではあるのだけれど、いつも雨なわけよ。新入社員の2人もサカタ先輩とは アウトドアとか外でのイベントにいかないほうがいいよ」とのたまう。
なんてやつだ。ドツキたい。ドツキたいが、まあツダの言うとおりなのである。
4月に入り、新人を連れてOJTをこなしているときも、会社を出てから数分後に雨が降り出した。
新人には花見の時のツダの発言が思い出され、やっぱりサカタさんは雨男なのですね、と報告している。
そんな報告はいらないのである。
私は子供のころから雨男だと言われた。
しかしながらそれは正確な表現ではない。
自分が喜んで行くイベントでは決して雨は降らないのである。むしろ快晴になる。晴れ男に近い。
「なんとなくいやだな」「いきたくないけどね」と思う会合などで、雲をみあげたりすると、雨になった。
そんな話を、取引先で仲良くなった女性に話したら
「ああサカタさん、それ、雲と心がつながるのですよ」
と驚くようなことを言った。
占いや文化人類学などに詳しいというので聞いてみると、自然と心を通わせるシャーマン的な素質があるのでは、ということだった。
にわかに信じられない話だ。
そう思って空を見上げると、雲が集まってきた。
まるで話しかけられるのを待っているかのように。
夏休みは、雨不足が続いている国に行ってみようかと思った。
(絵:文 ©ハヤテノコウジ)
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