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16時30分が自分の中心?(時間分析)

 
 
ウネウネジャーナル
 
 

めんどくさがりやは、つらいよ

自分はお調子者で気分屋で飽きっぽく、責任から逃げたくなる人間である。とにかく「めんどくさがりや」であるにも関わらず、野望だけはでっかいので、なんとかしなければならないと31歳から思い始めた。時間管理に書かれた本は、かたっぱしから読んできたつもりだし、今でも毎日書店に行き、新しい時間管理に関する本をチェックしている。それらのほとんどが、「ショートカットして時間を使う」「効率的に時間を使う」「幸せに時間を使う」「偉い人の時間術」といったことに集約されている。しかも「仕事時間」に特化している本が多い。残りは「女性のための時間術」である。仕事とプライベートが混在しているような業態の人にはあまり馴染めないのではないだろうか。「ある重要な1点」について詳細に説明した本がない。その1点については、各書籍とも1節くらいはさいているが。この重要な1点について、私は自ら実践し体系化してきた。のちのち、ご紹介させていただこう。

 

「奥義」の日本、「システム」の欧米

さて、日本の時間管理術は「技」「戦術」「奥義」にフォーカスしているのに対し、欧米(とくにアメリカ)は「タイム・マネジメント」という言葉があるくらい、計画性と目標設定を重視したものである。私も研修でタイム・マネジメントを受講したことがあるが、「P.F.ドラッカー」や「フランクリン・コヴィー」が提唱した内容であった。外資系企業や外資系コンサルティング会社などには、その手のソリューションがたくさんありそうだ。米国ではタイム・マネジメントの本やアプリケーションがやまほどあるはずだ。きっとiPhoneにもたくさんのツールが用意されているだろう。

時間、数、は奥深い

日米の時間管理術をまとめて読んできて、参考になるものは取り入れているが、それがどんどんエスカレートしている。妻や友人には引かれている。一部の人たちが、本当かうそかわからないが興味を持っているようだ。時間というものへの探求心がおさえきれなくなっている。時間、というところから日付、そして数字という概念までに広がり、出会ったのが数秘術という面白い学問である。これについては別途、書いてみたい。人によっては、「そんなセカセカと時間管理や勉強をしてどうするのだ。そういった余裕のない考え方では人が離れていくだろう。このメガネのトントンチキが」とおっしゃるかもしれないが、そうではない。文明社会は、まさに「時間とは何か」の問いかけて発展してきたのであるから。しかも、基本的システムは古代においても確立されていたのが興味深い。

 

起きている時間の中心は16時30分(自分の場合)

さて、本日のコラムで書いておきたいのは、「自分の起動時間の中心が、だいたい16時30分であるようだ」という事実。何をやったかというと、こんな感じ。

  • 自分は朝8時に起きる。そして、夜は午前1時(25時)に寝る。
    つまりは7時間睡眠。
  • 起動時間(起きて動いている時間)は17時間。
  • 17時間の半分(つまり起動時間の真ん中)は8.5時間。
  • それは16時30分である。
  • さらに4分割してみると、「12時25分」「16時30分」「20時25分」が区切りとなる。
  • さらに8分割してみると、「10時12分」「12時25分」「14時37分」「16時30分」「18時42分」「20時25分」「22時37分」が区切りとなる。
  • さらに16分割してみると・・・このへんでやめておこう。

 

さて、平日において、この8分割の時間帯に私がどんな心情なのかを振り返ってみたい。

時間 心情
10時12分 (リサーチ活動、上司への報告)朝のモニタリング活動終了。さてそろそろ自分の仕事をするか。
12時25分 (タスクの実行と新規タスクの調整)ランチ、どこで食べようかな?この仕事は今日中に終えて、これは今週中で・・・
14時37分 (ランチを食べながらプライベートのプランニング)絵の構図はこんな感じか。ツイッター見る。
16時30分 (業務確認、上司への報告)タスクをいろいろクリアできた。そろそろコップとか片づけておこう。
18時42分 (様子伺い)さて、帰るかもうちょっとやっておくべきか・・・
20時25分 今日のごはんもうまかった。早く珈琲のみながらツイッター見たい。
22時37分 そろそろ風呂はいらないとね

とまあ、区切り的なことを考えているような気がしてきた。

 

さらに、16分割までやって出てきた「時刻」は、なんとなく気になるものが多かった。どこかの本や論文、研究データなどに人間の時間的区切りに関する記述はあるのかもしれないが、自分の暮らしを実験台にして、今日も時間管理を観察し続けるのであった。

 
 
 あなたもぜひ、自分の起動時間を分割して、時間を出してみてはいかがだろうか?
 
 

 
 

風呂で爆睡ばぎゅーーーん

 
ウネウネジャーナル
 

このところ、毎日のように風呂で気を失う。「風呂で寝るっていうのは、気を失っているらしいぜ」と誰かが言っていたからこんなことを書いてみたが、まあ平たく言えば寝ているのだろう。誰も知りたくないだろうけど、自分の入浴プロセスは体を洗って頭洗って、顔を洗って湯船へ、という流れになっている。湯船に入ったら本を読む。ここ数日は町田康先生の「真実真正日記」を読んでいる。これで3度目。おもろいなーと思っているうちに、いつのまにやら寝ている。「本はどうなるんじゃい」という方がおられると思うが、湯船に入っているときは、首の下までふたを閉めているので、そこに置いているのだ。西村知美さんも同じような入浴方法をしているらしく、「あごにタオル!あごにタオル!」とテレビで叫んでいた。この「風呂で爆睡」状態が、だいたい15分、多いときで30分くらい続く。頭がかくっ。かくっとなっていると思う。そう、電車の中でかくかくしている人をたまに見かけるが、あんな感じ。夢とかそういうのは全く見ないで、ぼや~んとした視界がたまに開けるが、あとは寝ている。起きて湯船から出た時は、なんとも言えない後悔の念と気持ち悪さが伴う。まあポジティブにいえば「30分熟睡したってことじゃーん。あと少し起きて、駄文でも書けるじゃーん」ということになるので、今こうしてキーボードを叩いている。
(あーウネウネ)

1477円で脳内フリーズ

 
ウネウネジャーナル
 

ポイント3倍デーの時は、とくに買うものもなく、うーんとうなってさあ家路へと。家に帰るとヘアスプレーとかシャンプーとか石鹸とか微妙に減ってきてさあ大変。買っときゃよかった後の祭り。もりあがらない下火の祭り。でもまだチャンスあり。ありますって月曜日はポイント2倍デーじゃん。わくわくじゃんとお店に入ればいつものスマイル。ひとりふたりさんにんよにんみんな笑顔の店員さん。だから僕はこの店に通うのさ。カロリーメイトに豆乳ドリンクそういやチョコもかっちゃおう。ヘアスプレーにマスクも新調。カゴなんていいのさ手で持つのさ。いっぱい抱えて幸せなのさ。でもね、ちょっと待って、いつのまにやらポイントのことは忘れちゃって気がつきゃレジ前。いらっしゃいませーとスマイルな姉さんの顔見て思い出し。「そういや、これで、おいくらだっけ」って自問自答してあせってしまってポイントカードが出てこない。なぜに、なぜってさがしまくってそういや出しやすさ重視でカードホルダーじゃなくて財布にいれたんだっけってあーなにやってんのボクちゃん。ココロの中で「おいくらですか」って唱えてみてももう遅いのさ「1477円でございます~」ってえー!23円出せば1500円やんけ。ポイント3つ、いや2倍デーだから6つやんけ。でも「ポイント2倍デーですから4つ押させていただきまーーすっ」っと進んじゃって、今日はうーんと脳内フリーズ。(あーウネウネ)

レジ係と客のCPUの差

 
ウネウネジャーナル
 

レジのプロであるレジ係(ON状態)と、だらだらと買い物をしているお客(OFF状態)では、当然レジ係のほうが素早いわけで、「お先に大きいほう3000円お返しいたします」「おあと細かいほう・・・」とやってくれるのはいいが、たいていは私が財布にお札を入れるのを戸惑って、レジ係が一時停止する。このレジ係の脳内は「ちっ!遅いんじゃボケ」か、「待ちますよ、待ちますわよお客様」のどちらしかないだろう。それを思うと、ささっとお札を収納できない自分にイラッとする。がしかし、それでいいのか。たまーにだけど、こちらの状態を見てくれて、ちょうどいいタイミングで対応してくれる店員がいる。大量のお客をこなさなければならないチェーン系の店では、まず高速すぎる。そういう意味では、SUICAなどの電子マネーは便利だ。相手を待たせることもないし、こちらも楽ちんに支払いができる。小心者の私は、(1)店員が、状況を見ながらゆっくり対応してくれるお店、(2)電子マネーが使えるお店、に通い続けることにしている。(あーウネウネ)

備忘録メモ2・28

コラムネタを忘れないうちにメモ。

「ハヤテノコウジの日常観察~ウネウネ日記~」

「うねうね」とは、辞書によると「高く低く波のように、あるいは曲がりくねって長く続くさま。」とあるが、一度考え出すと、しばらく思考継続してしまう「気になったこと」を吐き出す意味では、このコラム名はアリかもしれない。

●レジ係と客のCPUの差
レジのプロであるレジ係(ON状態)と、だらだらと買い物をしているお客(OFF状態)では、当然レジ係のほうが素早いわけで、「お先に大きいほう3000円お返しいたします」「おあと細かいほう・・・」とやってくれるのはいいが、たいていは私が財布にお札を入れるのを戸惑って、レジ係が一時停止する。このレジ係の脳内は「ちっ!遅いんじゃボケ」か、「待ちますよ、待ちますわよお客様」のどちらしかないだろう。それを思うと、ささっとお札を収納できない自分にイラッとする。がしかし、それでいいのか。たまーにだけど、こちらの状態を見てくれて、ちょうどいいタイミングで対応してくれる店員がいる。大量のお客をこなさなければならないチェーン系の店では、まず高速すぎる。そういう意味では、SUICAなどの電子マネーは便利だ。相手を待たせることもないし、こちらも楽ちんに支払いができる。小心者の私は、(1)店員が、状況を見ながらゆっくり対応してくれるお店、(2)電子マネーが使えるお店、に通い続けることにしている。(あーウネウネが解消)(2010/02/28)

社会生活という舞台を極短小説に圧縮する

 
 

140文字以上への欲求

 

なんだかTwitterばかりやっていると、もっと文字を書きたい(打ちたい)気分になるのは私だけではないでしょう。まさに今、そんな気分で駄文を書こうとしています。深夜に。妻が起きないように、こそーりとキーボードを打つ。そんな人が世界中に何億人もいると思うとワクワクします。さらに、いつもそうなのですが「マーチダ・コー」という人の文章を読むと、なんだか自分も思念をダウンロードしたくなる。マーチダー・コーとは町田康先生のことでございますが、エッセイの中にこのような表記がでてくるので、ここでも使ってみたわけです。気分が少し滅入ったとき、いやだなぁいやだよういやだいやだといった虫が心の奥で騒いでいるとき、私はしばしば町田ワールドに降りて「アハハハハハ」と楽しくなるまで浸ることにしています。ちょうど今は、ゆとり世代の若者たちとバブル世代のマネージャーたちに挟まれ、なんだかなーなんだかようなんだなんだという日々を送りがちなので、町田ワールドに行きたくなる。まあそんなわけで、読むだけでなく書いてみたくなるのがユーザーってもんです。昔は泉麻人先生のコラムを読むたび、その観察眼とのんびりした文章を真似て、「東京下町街角ぐるり」とかわけのわからないタイトルでコラムみたいなものを書いていました。30代も後半に入り、いろいろ経験してきてピュアではなくなってきますと、町田先生のパンクな文学がちょうどよくなってきます。そうでしょう、あなたも。

 
 

するってぇと日常のなんだかなーも面白い素材に

 

日常生活、とくに満員の「通勤電車」に乗っていますと、そりゃあそりゃあいろんな人間に出会います。それはお互い様で、かの人もあの人もこちらに対していろんな感想を持ちながら、不思議な高速移動時間を共有していきます。年齢を重ねるにつれて、いらっとすることが多くなってきているかもしれません。自分の軸っていうものができてきますから、「こういう人間はいやだ」「こんなにおいのする人間はいやだ」「うるさい人間はいやだ」とかいろいろでてきます。それをお構いなしにすし詰めよりもひどい満員電車、東京でも1・2を争う悪評の電車で通勤していると、ほんっといろんな人がいます。電車だけではなく、駅という舞台にもさまざまな演技者が行き交っています。「なんだそりゃ」を観察しながら、日々暮らしている私です。観察から生まれた表現方法が「極短小説(ショートショート)」です。これは、たまたま書店でみつけた「極短小説 (新潮文庫)」と「SUDDEN FICTION―超短編小説70 (文春文庫)」「Sudden fiction (2) (文春文庫)」でした。非常に短い文章量の中に、物語が圧縮されている。短いため、突然始まり突然終わる。この面白さに引き込まれ、自分でも書き始めました。これは挿絵が先で、あとから文章をつけていきます。私の場合、まずイメージが浮かんできて、絵を描きます。絵を描きさえすればストーリー構築は型が決まっているので、簡単に作ることができます。これは俳句のようかもしれません。また、極短小説やショートショート(こちらはあまり知らない)の場合は、「最後はシュールに終了させる」みたいなルールなんかがあるので、まあそんなのをイメージすれば収まります。これは「ちょっと書いてみたいけど、長い小説はむりだわ。」という人にぴったり。まさに私。ショートショートの大御所、星新一先生のことは、実は全く知らなかったので、いま読み始めているところです。ショートショートと、君のいう極短小説の違いは何かね、と老紳士風をきどって尋ねられても、答えられません。FAQサイトにいってみてください。

 
 

未来が予知なのか予知が未来なのか

 

私が書く極短小説は、「実際に見かけた人たちをモチーフに制作するパターン」と、「勝手に想像して創作するパターン」の2つがあります。「実際に見かけた人たちをモチーフに制作するパターン」では、どうみても50代後半の女性が40代後半の男性と満員電車内でいちゃつき、話を聞いているとどうも不倫関係のようで恐ろしかったのを描いた「満員電車がデートスポット」、パン屋で、そのパンが焼きたてかどうかを自分の手の甲を当てて確認している「ありえない」おばばを見て描いた「ヤキタテドットコム」などがあります。「えぇぇえ!?」と驚愕した内容に、自分なりの物語をつけてみようという試みです。「勝手に想像して創作するパターン」では、満員電車でいきなり朗読を始める女子を描いた「車内での朗読はご遠慮ください」、お金のない起業家を描いた「カレーパン社長」などがあります。ちょうど昨日、目の前で洋書を声を出しながら朗読している大学教授風のおじじを見かけ、本当にそんな人がいるのか!私は未来予知をしたのか、と興奮しました。おそらく、こんな人を見て驚いた、こんな人がいたら面白いと想像した時点で、実際にそんな人がいる、それが地球なのでしょうね。ということで、久々にコラム風というかエッセイ風のものを書いて気持ちよく眠ることができそうです。ちなみにいろいろ調べると、コラムというのは新聞や雑誌に出たものを言うらしいので、極私的にやっている分にはエッセイというのかもしれませんが、エッセイというのはさわやかさを伴いそうで、やはりコラムでぶらんと行きたいと思います。こんな駄文でよろしければ、たまに遊びにきてください。そしていつかどこかの雑誌や新聞で、駄文を書いてみたいです。編集者の方どうぞよろしくお願いいたします。引き出しはいろいろ持っています。とその前に、このブログでいっぱい書かないとね。(ハヤテノコウジ)

 
 

車内での朗読はご遠慮ください。(ショートショート、極短小説)

東京電車シリーズ
 
 
 

マキメ氏の小説を何度も何度も繰り返し読んでいるミツヨは、

自分が読んでいた「鴨川ホルモー」の一文が、音声となって耳から入ってくるのを感じたとき、

ああ、私はついにここまで吸収したのだ。

西のマキメ、東のミツヨと呼ばれるような時代ももうすぐだ。

そりゃ書こう。書けばわかるさ小説だって。

とひとり興奮し、「ふん」と思わず言ってしまい周りを見回した。

それでも耳に入ってくるこの女性の声はなんだろう。

と思ったら、少し前にいる文学系な女性が、鴨川ホルモーを朗読しているのであった。

ああ、この女性は前にも見たことがある。いつも同じ車両に乗っている。駅も同じはずだ。

「京大青竜会に伝わる伝統の舞である。心配はいらない。非常に単純な舞である」

と感情をこめて読み上げる女性に、周りの人は迷惑げで怒り心頭な雰囲気である。

決して大声をあげているわけではなく、ささやくような、暗記しようとでもしているような、そんな声を出し方だ。

ミツヨは、きっとこの女性もマキメの大ファンなのであろう。

きっと「鴨川ホルモー」の映画も見たのであろう。

「ゲロンチョリ」「デ・キューレン」などのオニ語を言えるのであろう。

という強いシンパシーを感じてきた。

あぶらぎっしゅなオヤジサンが、我慢しきれずに言った。

「あんた!うるさいよ!さっきから。朗読お断り!」

池袋駅で、驚くほどのすばやさで下車していった。まるでオニのようだった。

各路線で同様の騒動が巻き起こり、迷惑行為としてJRでも認定されたのか、

「車内での朗読はご遠慮ください」

というアナウンスが流れるまでとなった。

ミツヨは、新人賞を目指して「朗読少女」という原稿を書いている。

小説部門からノンフィクション部門に転向して。

 
 
車内での朗読はご遠慮ください。(ショートショート、極短小説)
 

(絵:文 ©ハヤテノコウジ)

トイレはどこじゃ(ショートショート、極短小説)

東京電車シリーズ
 
 
 

寺内ジンベエ、77歳。孫のいる大船まで向かう途中。

自宅のある赤羽から乗り込んで池袋を過ぎる。

早く会いたい一心で、9時前に家を出た。

ラッシュというのが終わっている時間帯だと思ったが、

とんでもなかった。

まだまだひどい混雑である。

だいたい電車を降りる人がいるかと思えば、また乗ってくるのである。

車内の中ほどにも人がたくさん立っているので座るタイミングがわからない。

赤羽をほとんど出たことがないジンベエだったが、

乗り換える必要がないので大船には行ける。

それでもいつもは昼ごろ乗車するので、座ってのんびりできるのであった。

「混雑してまいりましたので冷房を強めさせていただきます」

という女性車掌のアナウンスを聞いたとたん、なんだかトイレに行きたくなった。

小はもちろんのこと大もちょっと感じる大小な感じだ、あは。

と一人で笑ってみようかと思ったとき、電車が揺れて

すこしちびった。

ちびる程度か。大丈夫かなと思ったが、路線図を見上げるとまだまだ先は遠い。

やはり行っておこうとトイレを探す。

7号車にそれはない。

「すみません、トイレがある車両ってどこかな」

と隣のにいさんに聞いてみたが、ヘッドフォンで聞こえないようだ。

「あの」と前のお姉さんに聞こうと思ったが、あまりにもゲームに熱中しているのでこわくなってやめた。

トイレってのははじにあるに決まっている、ととにかくはじの車両に行くことにした。

「すみません」といいながら、モジモジと人をかきわける。

8号車は弱冷車両なのでよかったが、

9号車、10号車は冷えすぎで、さらにトイレはどこじゃ!

ジンベエ、10号車にはまいった。

部活の試合かなんかあるのか、ボールバックや大きなバックを床に置いた高校生がわんさかいて、

「泥沼を歩いているようだった」と、あとで回想している。

11号車にやっとたどりついたジンベエ、トイレに入る直前に少し、ちびるもなんとか安堵。

大船駅のホームには娘と孫がいた。

この話をすると、「トイレは5号車、6号車にあったのよ」と娘。冒険は終わったのだ。
 
 
トイレはどこじゃ(ショートショート、極短小説)
 
 

(絵:文 ©ハヤテノコウジ)

あーいーうーえーおーな女子(ショートショート、極短小説)

東京オフィスシリーズ
 
 
 

満員電車に飛び乗ったんですよお。

私はなんとかバックを中に入れて、ひと安心していたら、ちょっと太めの若い人が乗ってきて、あーと思って。

案の定、バックのストラップがはさまったみたいで、親切な他の乗客が手伝って、なんとか引き抜いて。

この人、過剰に御礼するもんだから、おじきした頭がぶつかって。あーと思って。

会社に着いたら課長に「ちょっとちょっと」と呼ばれたのではいと言って近寄ると、

「急なんだけどお客さんだから、お茶4つね。それとコピー4部ね」と頼まれて、いーと思って。

ムカムカしたけど、何とか準備して自席で珈琲入れようとしたら、フィルターが切れていて、いーと思って。

昼休み、コンビニのパンと家から持ってきた玄米おにぎりを食べながらVeryでもじっくり読もうかなと休憩室に行ったら、おしゃべりな経理部の人につかまって、うーと思って。

昼休み中、彼氏とのけんか話につきあわされて、うーと思って。

15時から部会だったので、だらだら会議室にみんなで入ったら、偉い人たち、マジな顔。

不景気対策として組織改革があるって、えーと思って。私どうするのかなーと本部長の話を聞いていたら、

部署がなくなるから次の3つから選べって。えーと思って。

(1)関西支社で人が辞めるから、そこに補充として。えーと思って。
(2)中国の子会社に出向中の社員が戻ってくるから、そのかわりとして。えーと思って。
(3)クライアントへの出向社員が産休に入るから、そのかわりとして。えーと思って。

1週間後に希望を取るって。この部署、4人だから1人余るじゃん。えーと思って。

私、なんとなく(3)がいいんじゃないかなと思って仕事していたら、関西支社の社員を何人か見つけて、

割と草食系のイケメンじゃん、おーと思って。中国の子会社の人が来日していたので話したら、グルメを

週末は楽しめるみたいで、おーと思って。

課長に呼ばれた。プラン(4)を聞いて、あー、いー、うー、えー、おー。
 
 
あーいーうーえーおーな女子(ショートショート、極短小説)
 
 

(絵:文 ©ハヤテノコウジ)

エレベーター営業(ショートショート、極短小説)

東京オフィスシリーズ
 
 
 

今がチャンスだと思った。これがチャンスだと思った。

満員のエレベーターの中でポスターをかかげながら歌ってみよう。歌うしかない。

エレベーターが止まるごとにサビの部分を歌うのだ。

9、10、15、16、20、と点灯している。今は5階。よし。

「みなとの~か・も・め・に~なぐさぁめぇらぁぁれぇ~て~」

大きな声を出したはずだったのだが、「すみません」といってオレを押しのけた

大柄の女性が9階で降りた。

どうやら歌は歌えていないようだ。だめだ、これじゃあだめだ。

あ、あっというまに10階。よし、ここだ。

「みなとの~か・も・め・に~なぐさぁめぇらぁぁれぇ~て~」

なぜ歌えないのだろう。

声を出しているつもりだったが、やはりこの混雑がよくないのだろう。

むしろ、人が少なくなった方がいいのかもしれない。

レコード会社に入り、研修を終えて最初の担当が、この売り出し中の演歌歌手。

顔はいまいちだが、ボディと性格はいい。きっと売れるはずだ。この人のためにも!

コンサルティング会社の友人が、「エレベーター・プレゼン」というのがあると言っていた。

常に忙しい社長などに、エレベーターの中の数分で「報告と提案と承認を取る」という
すごいテクニック。「いいんじゃない、それで」と言われたら成功だという。

それだと思った。それがチャンスだと思った。

エレベーターの中で営業すれば、注目度が高いはずなのだ。

なるべく中高年が多そうなビルを選び、ゲリラ的にやってみようと思った。

回想しているのもつかのま、あっという間に10階を過ぎたことに気付く。

20階に迫ろうとしていた。

乗客は5人。

今しかない。腹に力をいれた。


「みなとの~か・も・め・に~なぐさぁめぇらぁぁれぇ~て~」

「こよいの・舟は・ひとりぁ~きぃぃり」

「あ・あ~夢岬~」

「ウングレコードから売り出し中の演歌歌手・・・」

「20カイデゴザイマス」

やさしげな女性の声のあと、ドアが開くと同時に乗客が一気に降りた。

結局、歌えなかった。誰もいないエレベーターで歌っていた。

その様子を、警備室の警備員が見ていた。

 
 エレベーター営業(ショートショート、極短小説)

(絵:文 ©ハヤテノコウジ)