(発想)「1日1コマ」という絵日記スタイルで、気づいたこと。「何もない日などない」「1日1日がドラマティックに相関する」

モレスキンに描いたマンスリー絵日記。7月8月のまとめ。海へ高原へ美術館へと、夏を満喫しました。モレスキンに描いたマンスリー絵日記。7月8月のまとめ。海へ高原へ美術館へと、夏を満喫しました。

モレスキンに描いたマンスリー絵日記、2014年4月版。色塗り完了。

正方形の型紙を使って、ノートに枠を描いてみる。それはひとこま分のイラストスペースになって、1コマ絵日記やマンスリー絵日記になる、というお話です。かなり長文でございます。

つづきはこちら。

きっかけは1980年代の本

絵日記をモレスキンに描くようになったのは、2009年くらいからだったと思う。最初はポケットサイズのスケッチブックを使い、ページを分割することで絵日記のタイムラインごとのトピックを表現していた。絵日記を描こう、と思い立ったのは、代々木上原にある「Los Papelotes (ロスパペロテス)」で見つけた「東京面白倶楽部(1984年に発売)」という本から多大なる影響を受けたからです。

その本では、アナログ表現でその日々のトピックスをページに凝縮していました。この行為は、本を見た別の人にも同じ行動を起こさせるような、パワーを持っていました。江戸時代の絵巻や木版がなど、時を経ても現代人が興味を持つのは、そのときどきの瞬間が文字で再生される面白さがあるからではないでしょうか。ロスパペロテスに時々行くと、自分の人生を変えてくれるような本と出会う事が多い。おおげさに聞こえるかもしれませんが、そんな出会いが何度かありました。看板犬は寝ているときもあればじっと外を眺めていることがあります。

絵日記はフォーマットで変化する

ポケットサイズからラージサイズへと拡張し、モレスキン愛好家や文房具ファンの人たちとの交流の思い出を、描き記していきました。2011年、2012年の旅といえば、各地のモレスキンファンに会いにいく、というのと同等になっていました。何人かの友人たちが、日本全国で「ノートで何かを表現する」人々を引き上げ、広げていった。私もいつのまにかその1人となり、アナログ表現とデジタル表現の組み合わせを続けています。

モレスキンは製品ラインナップが多岐にわたり、すべてのジャンルにおいて精通するのは難しいと言えます。ハードカバーから少し距離を置き、カイエ、ヴォランと軽量型を使う時期もありました。フリクションボールペンの人気があがってきたころ、これで絵日記を描くようになりました。ボールペンですが消える線(正確には見えなくなっているだけ)が使えるのは、まだ絵の描き方が不安定だったころには重宝しました。カイエの利点は軽いこと。逆にいうと強度がない。これを補強するために、マスキングテープやセロハンテープを活用することになります。

カイエに記した数々の思い出は、多方面から反響を呼び、雑誌に掲載されたり個展を開催するところまで広がって行きます。まさかイラスト専門雑誌である「イラストノート」で6ページにわたり紹介されるとは思いませんでした。「イラストノート No.31(2014年7月16日発売)」は旅特集で、私は旅の中での「フード」について過去作品をセレクトして提供、インタビューに回答することで自分の作風について整理することができました。「創作物は価値が減らない資産である」、そんな感じがします。

モレスキンで手帳を自作。

ヴォランでのチャレンジは、「自作モレスキン手帳」です。2013年はモレスキンの公式サイトのテンプレートダウンロードサービス「MSK」を使い、マンスリーカレンダーのテンプレートをダウンロードし、それをヴォランに貼ってカレンダーとして使いました。さらに、自分で1ヶ月分の枠を描き(正方形の型紙を別途作って)、そこに1日1トピックで「絵+ひとこと」を置いて行く。これを「マンスリー絵日記」として運用。この内容をまとめたブログ記事は、今でも「モレスキン 自作」という検索キーワードでアクセスされることがあります。

このマンスリー絵日記を続けていくわけですが、次第に面白さがわかってきます。多忙な時期は週末にまとめて描く事が多く、1日1テーマを考え、その日の記憶を描いてみることで、わかったことがります。毎日というものは、おだやかだったり激動だったりと、ドラマティックであること。
そして何もない日なんてない、ということに気づきました。しばらく眺めて行くと、これも人々に伝えたい(真似してほしい)アイデアであるという思いが強くなり、ZINE用に描き起こすことに。実際のマンスリー絵日記から、印象的なコマを選び、再編集して小冊子にして販売しました。この際にはマンスリー絵日記のテンプレートを付録で付けたので、マンスリー絵日記の実践者が現れました。

さらに多忙になってしまい、毎日続けるのが厳しくなってきました。そこで、2ヶ月分の1コマ絵日記をモレスキンスケッチブック(ラージ)の見開きで表現するようになります。次第に文字が消えていく。絵だけの効果として「自分だけが思い出す」「時間を共有した友人が思い出す」といった記号的なプレゼンテーションになっていく。モレスキンがアートシリーズを再編し、「ART PLUS」となってから販売された「スケッチアルバム」には正方形タイプがあります。これはInstagramにぴったり、ということもあり導入。ここでマンスリー絵日記の見開きは横長になり、絵日記というよりはモチーフが均等配置された図表イメージのような印象になってきました。

ということで、最終的には文字が消えました。私だけがわかる記号のようなイラストが並びます。

1日1コマの絵日記を描く「マンスリー絵日記」実践者は、今でも増加中で、描く情報が少ないので、気軽に続けられるそうです。溜まっていくと、それは映画のフィルムのように1日を映し出し、1ヶ月とストーリーと変えてくれるでしょう。自分の思い出や記憶を再編集する。ポジティブな未来へのヒントとして。このアイデアは自分の人生を鮮やかにするので、広く伝達していきたいと思っています。

フレーミング。枠なのか、窓なのか。それはあなた次第です。日本的な箱庭世界に、世界の人々が注目するかもしれません。小さな空間にエネルギーを集中し、突然解き放つ好奇心と情熱の環。つかっていないノートを取り出して、フレームを描いてみましょう。その方法をZINEにまとめました。

自作の正方形の型紙も付いてくる新作ZINE

発売中の新作ZINEはフレーミングイラストのスターターキットになっています。正方形の型紙もついてきますので、ぜひ1コマ絵日記、マンスリー絵日記イラストにチャレンジしてみてください。

ZINE情報はこちらから。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(文・絵:ハヤテノコウジ)