「モレスキン」という型がもたらす段階的な自己成長と発見(A4モレスキン使用感)

A4サイズのモレスキン使用感レビュー。モレスキンをめぐる精神的旅路

モレスキンを愛用し、モレスキンにイラストや絵日記、コラージュなどを制作しているアマチュアイラストレーター、ハヤテノコウジです。普通のサラリーマンをしながら、深夜と週末だけ、制作活動を行っています。個展やイベント、会合、Facebookページやその他ソーシャルメディアを通じて作品発表を続けていますが、このブログの運営も大切な活動の一つと考えています。今回は、今年の1月に開催した個展「ハヤテノコウジの旅日記展(デンマーク旅行編)」では、デンマーク旅行記をモレスキンのA4サイズに描いたので、これについて考えてみました。

MOLESKINE モレスキン フォリオ スケッチブック A4 ([文具])

モレスキン・アトリエで出会ったA4サイズのモレスキン。

A4サイズのモレスキンがあると知ったのは、有楽町ロフトの中にできた、「モレスキン・アトリエ」というモレスキンの直営店のオープニングパーティーでのことだった。たくさんのモレスキンと同代理店が扱う海外ステーショナリーやグッズに囲まれて、喜んでいる時に、入り口近くのコーナーでA4サイズのモレスキンを見つけた。正式には「モレスキン フォリオ スケッチブック A4」という。

モレスキンに絵日記や旅日記、コラージュ、旅のイラスト、花のイラスト等を描いて、一部ではモレスキン・アーティストと呼んでいただいている自分は、長い間、「モレスキン スケッチブック ポケット」と「モレスキン スケッチブック ラージ」を使っている。こちらはアート紙でできており、頑丈で裏うつりはほとんどしないすぐれもの。色が黄色いので、白い紙に描くのとは違う、独特の風合いができあがる。

ポケットサイズから始まったマイモレスキンライフ。

もともとは、ポケットサイズのモレスキンのスケッチブックを愛用していた。ラージサイズを買ったのは、使っているポケットサイズが一時的に手元から離れることになったのがきっかけだった。61人のモレスキンユーザー(モレスキナーという)の使い方を集めた書籍「モレスキン 人生を入れる61の使い方」 のその中の1人、としてご紹介いただいた時に、ありがたいことに掲載したイラストが描かれたモレスキン(計3冊)を同書のプロモーションの一環で書籍展示してくださるということで、貸し出すことになった。その際に、ラージサイズのモレスキンのスケッチブックを買ってみた。

ポケットサイズに比べると、ラージサイズはたくさんの情報を記入できる。表現の幅が広がる。自分のポケットサイズのモレスキンに描いた絵は様々なシーンに展開していき、それを眺めながら、ラージサイズへの創作の試みをいろいろとやっていくのであった。ポケットの持つコンパクトさ、世界を凝縮することでむしろメッセージ性を増していく感じは、盆栽や茶室、禅庭なので世界というか宇宙を創り上げていく日本人にあっているような気がする。自分も、ポケットサイズには京都の絵、とくに石庭等を描いていた。ラージを使ってみることで、自分の作品は和よりも洋、西洋的エッセンスが盛り込まれるようになった。

 2011年ころの作風。モレスキン絵日記:やねせん散策編(まめさんぽ)

2011年ころの作風。モレスキン絵日記:やねせん散策編(まめさんぽ)

ポケットサイズの話をもう少し続けよう。私はモレスキンの本「モレスキン 人生を入れる61の使い方(以下、モレ本2)」の中で、旅の章のトップバッターとして紹介されている。この本の該当ページには、北京を旅した際のリゾート地の風景と、フィンランドのヘルシンキに滞在したときの思い出の絵が紹介されている。自分だけの、特に誰かに見せることを意識したわけではない絵が、読者の方の心をつかんだりインパクトを与えたり、モレスキンを使いたくなるような感情への訴求力がある、というのを知ったのは驚きだった。本に紹介されてからの自分の体験は、今思い出しても興味深い。

第三者に評価されるまでは内なる作品だったが、この本の著者陣のキュレーションによって、外部へと旅をし始めたようだ。 モレ本2の私のページを見て、この本を買った人、モレスキンを買った人、絵日記を描いてみるようになった人が何人かいる。発売されてから時間が経過しているが、モレスキン人気はますます高まっており、この本を目にする方はまだいるようだ。感想をいただけるのはとてもりがたい。この気持ちをしっかり定着させるべく、その後は個展を3回実施するに至った。またこの話しは別の機会に書こうと思う。

モレスキンポケットからモレスキンラージへ。

そしてラージサイズである。私の創作活動は、常に2軸を並行して走らせている。1つは、文字のない、デザイン的なコンポジションの作風、もう1つは、文字と絵を、まるで雑誌の1ページのように表現した、絵日記風の作品。このどちらにおいても、ラージサイズになってから「他人」が関係してくるようになった。ある会合の思い出。大切な仲間との記憶。クリエイティブの共鳴の調べ。スペースが広がって初めて起きた現象である。図案・図柄の拡大、コラージュやスタンプ活用による表現力の広がり。ポケットサイズでは入らなかった資料なども、貼ることができるのも大きい。コラージュ、というのもやりやすい。しかしながら重量はどんどん増していくため、携帯性には難が出てきてしまった。

しかし面白いのは、ポケットでもラージでも、小さく記入してイラストを描いた場合、スキャンしたあとのデータの見栄えは同じようになることがある、という発見である。ポケットサイズの絵や絵日記をネットで見た人は、モレスキンの実物を見ると「ラージサイズに描いているのかと思った」という感想を話してくれる。ラージサイズは、何かを貼る、スタンプを押す、という表現は間違いなく広がっていく。厚みはどんどん増してしまうが、貼る、描く、押す、といった様々な創作機会があるのは、とても楽しいことだと思う。

(2011年の作風)モレスキン絵日記:鎌倉編(まめさんぽ)2011年12月

(2011年の作風)モレスキン絵日記:鎌倉編(まめさんぽ)2011年12月

モレスキンラージで広がった仲間たちとのつながり。

ノートブックで何をするのも、ユーザーの自由。私の場合は、ラージを使い始めてからコラボレーションが始まったり、友人たちとの思い出の記録が増えていく。コミュニケーションの幅が広がる。ポケットサイズは自分でニヤリと見返すもの、ラージサイズは誰かと見るもの、になっていった。写真愛好家の友人の写真をイラストにさせてもらい、展示作品の原画を作ったり、散策イベントを企画・実施した時の記録を絵日記にしたり、旅先で友人たちと周った店を描き記したり。この絵日記は、とある外国人の知人(日本のカルチャーを英語で世界に発信している)に取材された際に、「Analog Blogだ」と評され、彼が書いた英文ニュースに写真として使われたのだが、これが世界中に配信されてアジア、ヨーロッパ、アメリカなどのニュースサイトやブログで紹介された。私のFacebookページのギャラリーや、instagramには全世界からフォローされるようになっている。先日もアメリカの大学の研究者から絵日記について問い合わせが入った。このような描き方を、外国の皆さんは面白がってくれるようだ。

モレスキンをはじめとして、ノートブックの面白さというのは「とりあえず気に入ったら買っておく」ことにある。頭の中に入れておくと、生活の中であのノートに書き記していくべきネタが見つかることにある。何かをやろうと決めてからノートを探しにいってももちろんいい(それが大半だと思う)。ノートに書くというパッケージ行動は、箱が先にあると制限されながらの創造性発揮ということにもつながっていくのではないか、という自分なりの仮説のもと、今日もノートを見つけに文房具店やセレクトショップを歩いていく。人類史上、「ノートに記録したまめな人」たちの文化的財産が現代人の生活に多大なるヒントをもたらしてくれるように、暗黙知を形式知として転換する、最もシンプルで簡単で確実な方法をもっと多くの方に楽しんでいただきたいと思っている。

デンマーク旅行記(モレスキン フォリオ スケッチブック A4に作成)

2012年の作風。デンマーク旅行記(モレスキン フォリオ スケッチブック A4に作成)

そしてモレスキンラージからモレスキンフォリオ(A4)へ。

私は、有楽町のモレスキン・アトリエでA4サイズのモレスキンのスケッチブックを買った時、まだ何に使うかは決めていなかった。頭の中にあるノート在庫を、暇な時にめぐってみて、あのノートには何を描こうかという考えを循環する日々が続く。デンマーク旅行が近づいてから、ラージサイズとA4サイズのどちらかに旅日記をまとめていこう、という気持ちが高まってきた。「描く・書く」だけでなく「貼る」に対応するのは、アート紙の方のスケッチブックでは限界がありそうなので、A4サイズのモレスキンで進めることにした。A4サイズのモレスキンにデンマーク旅行記をまとめると決めてからは、効率が良い。いつも海外旅行時には紙資料を集めすぎてしまい、整理するのが大変なのだが、表現するサイズをすでに決めているし、ページという容量もイメージできるのがすばらしい。海外旅行の間に、「これは○○みたいに貼ると面白そう」「コラージュ用に使える」といったアイデアも生まれやすくなる。旅行中には無駄のないコレクション(使うものだけ)を日本に持ち帰り、ノートに貼ったり追記したりコラージュしたりすることができた。

デンマーク旅日記

1週間以上の海外旅行をまとめるなら、「モレスキン フォリオ スケッチブック A4」も一つの選択肢としてオススメしたい。プレーンのように貼り、スケッチブックのように描くことができる。アート紙ほど厚くないので扱いやすい。モレスキンはラインナップごとにいろいろな表現ができるのが面白い。種類ごと、サイズごと、に加え、カラーバリエーションも豊富になってきたので、色別に何を描くか、も考えられる。これについてもまた記事にしていきたい。

このように、モレスキンというパッケージに思いを刻みながら、自分自身の成長や他人との交流による好奇心的な刺激の与えあいを続けている毎日は、大変面白いと思っています。

(文・絵:ハヤテノコウジ)

マンスリー絵日記がZINEになりました。

ONE FRAME DRAWING JOURNAL

ONE FRAME DRAWING JOURNAL
ハヤテノコウジのオリジナルZINE
B6サイズ、10ページ、100コマの1コマ絵日記掲載。
詳しくはZINEのページで。
MOLESKINE モレスキン フォリオ スケッチブック A4 ([文具])
by カエレバ